「2万円で、思いやりを買いました。」【ネミーマガジン第117号】

いつもネミーマガジンをご覧いただきありがとうございます。
今回は 社長室 兼 ソリューション室 の堀が担当させて頂きます。

以前、画材販売の営業をしていたことがあります。
営業先のうちの1つに、とある小売店がありました。
Oさんという年配の男性が営む、小さなお店です。

一見すると無表情なOさんでしたが、
一度、そこで財布をなくしたことがあり、
「しょうがないなぁ」とお昼をご馳走に。

それを機に、理由を作っては足しげく通うようになりました。
そのうち、Oさんの方から笑って話しかけてくれるようになり、
訪問すればほぼ一緒にお昼を食べるようになりました。

Oさんにとっては、客先で財布をなくすような、
おっちょこちょいで、ほっとけない奴だったのだと思います。

**

あるとき、会社で一番の大口のお客様から
1,000個という大量発注がありました。

意気揚々と納品しに行くと、
「こんなたくさんとは、聞いていない!」というお話。
聞くと、1,000個ではなく100個だというのです。

手元にあった発注書の写しには確かに「1,000」という数字が。
しかし、お客様は頑として態度は変わりません。
会社に相談した上で900個を引き上げました。

さて、この900個。どうしたものか。

私が担当するお客様を回って少しずつ買っていただきましたが、
数か月たってもだいぶ売れ残っている状態。
このときの私はかなり疲れていました。

そこでOさん、元気のない私の様子を見るに見かねて
こんな声をかけてくれたのです。

「残り全部引き取ってやる」

「えっ!本当ですか?」

「ただし、条件がある」

内心、どんなに無理難題を吹っ掛けられるかと思いましたが、
条件とはこのようなものでした。

・Oさんの店にずっと売れ残っている「相田みつを」の掛け軸がある。
・それを2万円で買ってくれたら、残りを全部引き取る。

損得勘定ぬきの申し出に、しばし呆然としましたが、
Oさんのご厚意に甘えることにしました。
やっぱり、私はほっとけない奴だったのでしょう。

行きは画材でパンパンだったハイエースが、
帰りは掛け軸1つだけのスッカスカになりました。

なお、Oさんから買った掛け軸に書いてある言葉は、

「思いやり」

Oさんの粋な計らいにぴったりでした。

こうして、私は思いやりを2万円で買いました。

Oさんとは、今もときどき連絡を取り合っています。
「ほっとけない奴」から「頼れる奴」になれるよう、
今後も頑張っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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